三田巡朗のぐるっと廻って

事物(もの)を知らないまま大人になってしまった。自然と共に。

瑞々しい目黒の自然が掲載されている「街の自然12か月―めぐろの動植物ガイド」

持っている本の中で、気に入っているものを挙げると、半分ぐらいはデジタル化される以前のものではなかろうか。

街の自然12か月―めぐろの動植物ガイド(表紙)

街の自然12か月―めぐろの動植物ガイド(表紙)

その中で、自然に興味を持つきっかけを与えてくれた一冊が「街の自然12か月―めぐろの動植物ガイド」 (1983年)。目黒区が発行している。1977年の写真も使われており、2年間かけた四季を追う編集の大変さと充実ぶりがうかがえる。

中を開くと、今でも注意深く観察すれば見ることができる鳥、昆虫、カエル、植物が取り上げられている。珍しくないのだが、本の中で取り上げられている資料はどれもが瑞々しく映っているのだ。
9月~10月には、ワタリ(渡り)途中のツルクイナ、エゾビタキ、キビタキ、コムクドリの群れが写っており、知らない当時の自然に思いをはせる。

当時の目黒区長 塚本俊夫氏は冒頭で、「昭和7年当時、東京の5分の4は緑に覆われていた。」「(発刊当時、塚本氏が子供たちと話すと、)身近で見かける動植物の名前さえあまり知らないことに驚いた」と述べている。
この「動植物の名前さえあまり知らない」子供世代に私が含まれ、私たちは、子供を持つ年代に達している。

振り返ると、なんだかんだと、侵食するように人の手が入り緑が薄まっていく一方で戻らない緑。住宅地ある一定の面積について緑地を何%以上つくるなど決めて、少しずつ増やしてみてはいかがかと思う。自然など求めなくても周りにいくらでもある状態がいいと思う。

本書で四季を通して登場するエノキ 春夏は虫がつき、秋は実が生り、鳥がやってくる。(駒場の教育大跡地)現在のどの木に当たるか気になるところ。

街の自然12か月―めぐろの動植物ガイドについて記載されている「目黒の野鳥概観」というホームページ(今はGoogleのキャッシュだけになってしまっている。)で、下記のように書かれていた。結構な数ではないかと思う。出会ってみたい。

鳥類の生態調査をした結果1970年から1983年7月までの間、野鳥79種、飼い鳥が逃げたもの18種が観察されたという。
この79種類の中から、周辺でよく観察できる12種類を選んで「目黒の野鳥」としてまとめた。

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