気になる作家 谷口ジロー
9月30日(日)に明治大学リバティアカデミーで行われた「谷口ジローの味わい方」を受講してきた。
谷口作品の知見はなく、B.D.(バンド・デシネ)に関わりを持つ友人の勧めだったが、絵を見ると、空間が立体的で、俯瞰的で、もの静かで、1コマの中に間(流れる時間)があり、自分と通ずる奇妙な魅力を感じ楽しみにしていた。
谷口氏、夏目房之介教授のトークセッション形式で進行していく。
拾ったキーワードをつなげるとこうなる。
家屋の屋根を外したところに据えたカメラの視点から撮影している。背景と風景は異なり、背景は貼り付けた絵だが、谷口氏の風景は遠近法によって再現された3D空間。ベタを使わず明るい。背景もキャラクターの一部、背景だけで語れる。小津安二郎の絵のイメージを表現している。建築と窓と思想は繋がっている。夏目漱石が最後に暮らしていたのは、石造りの小さい窓の労働者用の部屋で、外には低い立ち込めた雲が見えるというもの。心と建築(環境)は繋がっている。
これらは、作家の潜在意識(無意識)のなかで描き出されているものもあるという。
最後に谷口氏は「『地球を壊しながら、地球を食べながら生きている。これからどうなっていくだろう。』という気持ちが無意識に働いている」と語った。
私と谷口氏の考えていることは重なった。